小林人


みんなに野菜を楽しんで、好きになってほしい。

 「いつでも、どこでも美味しい野菜が食べたい。そして美味しい野菜を広く知ってもらいたい」。
大角恭代さんは、野菜、果物を愛し、その魅力を伝える「野菜ソムリエ」。料理教室や講座の企画、執筆を行うなど県内を中心に、活動の幅を広げている。
野菜ソムリエは、日本野菜ソムリエ協会が認定する資格。「ジュニア野菜ソムリエ」・「野菜ソムリエ」・「シニア野菜ソムリエ」の3種類があり、中級以上の野菜ソムリエとシニア野菜ソムリエは、全体の約3%。県内の有資格者は約250人で、中級以上となるとわずか9人。大角さんはその1人で、市内で唯一の野菜ソムリエとして活躍中だ。
「祖父の代から農業を営んでいて、野菜は身近でした。小さい頃から野菜が大好きで、学校の実験で使った苗を自宅に植えて遊んだり。保育園児の頃の将来の夢は、『ニンジン屋さん』」。
大角さんは小林高校を卒業後、横浜国立大学に進学。グリーンツーリズムについて卒業論文を書いた。卒業し、野菜や加工品の流通を学ぼうと、民間企業に就職。都会で、休む間もなく激務をこなす日々を送った。
「今思うと、多忙な毎日に癒しを与えてくれたのは、やはり野菜でした」。
平成22年、ジュニア野菜ソムリエの資格を取得。今年、野菜ソムリエとなった。
故郷に帰り、それまで知らなかった宮崎の自然や農産物の豊かさ、多様性を知った。特に衝撃を受けたのは、三股町で出会った文旦(和名=ザボン)。
「果肉は、中のみずみずしさを守るようにプチプチとはじけ、手でつぶしても、べたつかずサラっとしていたんです。いくらでも食べられました」。
ほとばしる野菜が持つエネルギーを感じた。野菜の奥深さに心を打たれ、「野菜の素晴らしさをもっと多くの人に知ってほしい」と決意した瞬間だった。
現在は、ライターとして、県内外の生産者や畑を訪れている。「仕事というか、趣味や勉強もかねて、まだ見ぬ野菜に会いに行っているという感じ」。
とにかく野菜が好きでたまらない。知れば知るほどに、彼女の野菜に対する愛情は膨らむばかりだ。(「広報こばやし」平成25年8月号掲載)