こばやしのヒト

編集部は宮崎県小林市に滞在した際に、1泊2日で農家民泊を体験してきました。農家民泊はグリーンツーリズムとも呼ばれ、田舎に滞在して農林漁業体験を通して、その地域の自然や文化に触れ、地元の人々との交流を楽しむ旅のことです。

小林市では一般的に中高生の卒業旅行として農家民泊をする機会が多いそうですが、近年では20〜30代の若者も地域の暮らしに目を向け、それを体験するために田舎に足を運ぶひとも増えているといいます。

編集部は稲刈りのお手伝いをさせていただいた

農家民泊を通じて地域の文化に触れることは楽しいとは思います。けれど、わざわざ田舎を訪れて、農業体験をするのはどうしてだろう? どんな役に立つんだろう……。

もしかしたらあなたも、僕と同じような疑問を持っているのではないでしょうか。

編集部がお世話になったのは、宮崎と鹿児島にまたがる霧島連山の北東に位置する北きりしまの「農家の宿 くらら」。宿を運営するコーディネーターの倉薗嘉枝子さんに僕の疑問を投げかけたところ、「ぜひお金をかけてでも、農村地域に来て、見て、感じてください」と語ってくれました。

グリーンツーリズムを勉強したいと思った理由をうかがいたいです。

(右)倉薗嘉枝子(くらぞの かえこ)さん

倉薗嘉枝子(以下、倉薗) 自分から進んでやることがほしかったんです。家の仕事や店の仕事に追われたりするばかりでは辛いな!という気持ちもあったし、 その頃は焼肉レストランも立ち上げていて、お客様との会話で地域の特産物や観光地などを尋ねられることも増えていました。

小林は水が美味しい、蛍も沢山いる、星もきれいに見える、また霧島の山々も雄大。小林は素晴らしいところだと思ったもんだから、それを伝えたくて。

実際に農家民泊を始めたのは、その頃ですか?

倉薗 そうですね。農家民泊を始めてから今年で5年くらいになります。

約5年間も農家民泊に夢中になれたのは、農家民泊にどんな魅力があるからだと思いますか?

倉薗 一番の魅力は、今あるものを活かせることだと思います。お店をやるには店舗を建てて、営業するためにいろいろと準備しなきゃいけない。でも農家民泊に関しては、私たちの生活に既にあるもので始められるからいいのよ。

農家民泊は、都会から来る参加者が多いんですか?

倉薗 そうですね。参加者の多くは中学生です。ご両親の目から離れてひとの家に泊まることも初めてだし、牛に触れるのが初めての子も多いんですよ。

農家民泊は子どもとたくさん触れ合う機会になると思いますが、倉薗さんにとって印象深かったことはどんなご経験でしょうか?

倉薗 都会の子どもだって、私たちが幼かった頃と一緒だということに気づけたことが嬉しかったですし、思い出深いです。



倉薗 嘉枝子さん

農家民泊を通じて、食の安全と安心を伝える「農家の宿くらら」のコーディネーター。現在は焼肉店「Beef Cook 黒毛和牛」、和牛を育てる仕事もおこなう。小林市のふるさと納税でも商品が扱われている。