こばやしのヒト

大学で農薬や化学肥料を使わない有機農業と出会い、修行の道へ。「HORI-KEN Farm(ホリケンファーム)」の堀研二郎さんは、2011年に小林市にUターンし、少量多品種で栽培する有機農業に励んでいます。

ホリケンさんにとって「食べる」ということはどれくらい大切なことなのでしょうか?

ホリケン おいしいものを食べたいっていう欲望は常にありますね。人間は生きるために食べるとよく言いますが、ぼくは違って、食べるために生きている(笑)。それくらい「食べること」が好きなんです。

おいしいものを食べた時って、めちゃくちゃうれしいじゃないですか。食べ物をつくって食べて、食べることによって心が満たされる。会話が生まれて、食でひととつながれます。

つくること、失敗すること、食べること。すべて農業という仕事の中で連続していて、その状態こそが自然の摂理です。作物がおいしく育てばうれしいし、台風で苗が枯れてしまったら、動物に食われちゃったら、ちくしょう!って、悲しくなってしまう。農業にはうれしいことも悲しいことも楽しいことも、すべてが盛り込まれている。すごい仕事なんですよ。

HORI-KEN Farm 自家製の腐葉土

写真:HORI-KEN Farm 公式Facebookページより

地球にやさしい男になるために

── ホリケンさん、仕事大好きですね。有機農業を通じてホリケンさんの目指す生き方が伝わってきます。

ホリケン 昔、ふとなろうと思った“地球にやさしい男”には、自分の生業を通じて極力環境に負荷を与えないような生き方をしていきたいです。他の農法や産業を否定しているわけじゃなく、ぼくは一つの選択肢として有機農業を実践することで、環境とより良い関係を保ちたいんですよ。

── より持続可能な生き方をするために。

ホリケン そうです。小林には、食料やエネルギーの資源がいっぱいある。たとえばこの辺の(畑の周りを指さして)杉の木を伐採して薪にしたら、雑木に植え替えたり、落ち葉を集めて腐葉土をつくったりして、いろんな動植物が暮らせる環境にできるはずです。豊かな生態系の中でこそ、逞しくおいしい野菜ができるんじゃないかな。誤解を恐れずに言えば、そういうふうに、この地域の中だけでも、まずは自分の営みだけでも循環させたい。

そうありたい原点には「地球にやさしい男になる」っていう想いが、やっぱりずっとあるんです。



堀 研二郎さん

東京農業大学入学(2003)後、地方地域の自然環境について考える。地元の自然を有効利用できないかと考え始め、基幹産業である地方地域の農業の存在意義について考える。環境に負荷を与えず健康によい、おいしい食物をつくることを提唱する有機農業について学ぶ。東京農業大学卒業後、有機農業家のご指導のもと3年間の有機農業を実践。2011年宮崎県小林市で新規就農。