「ンダモシタン小林」クリエイターインタビュー

「ンダモシタン小林」クリエイターインタビュー

大反響の「ンダモシタン小林」。話題となっている要因はどこにあるのでしょうか。今回の動画制作にスタッフとして加わった「九州の鬼才」とも評される、九州広告界のヒットメーカー村田俊平さん(電通九州)に、動画に込めた「仕かけ」を聴きました。

テレビで「ンダモシタン小林」が取り上げられるとき、決まって「オチがすごい」という枕詞がついてきます。確かに、オチも魅力の大きな要因なのですが、実は「方言が外国語に聞こえる」というテーマ自体は目新しいものではありません。津軽弁のイントネーションが外国語に聞こえる、とか。昔タモリさんも似たようなことをやっていたりしましたよね(笑)。

最後の「オチ」まで見てしまう緻密な設計

動画がここまで話題になったことを自己分析してみると、「オチ」までの設計の緻密さにヒントがあると思っています。字幕や映像を見てみると、ところどころトンチンカンなワードや場面が出てくるのに気になった方も多いかと。「トンボの交尾」「プラネタリウムで爆笑している人々」「寿司職人とフランス人の入れ替わり」「おいピー」…。このヘンテコなワードや映像がうまくナレーションから気を逸らす役割を果たしています。加えて、ウェブムービーは自分の意志で、視聴をすぐにやめられるメディアなので、こういった小ボケをちょこちょこ入れていくことでラストまでの興味をつなぎとめることができるのです。本格的なフランス映画のようなトーンや、見ごたえのある小林市の大自然など、映像の強さも動画の力をガッチリ底上げしています。

「二度見」というアイデアが動画を拡散

もう一つは、動画の“外側”の部分になりますが、動画を拡散させる時に使った「二度見」というキーワード。これはCD(キャンペーンの全体統括)を務めた越智のアイデアですが、「二度見」という思わず「ホントかよ?」と試してみたくなるようなワードと動画が抱き合わせで広がっていたことが大きな勝因になったと考えています。
つまり、「オチ」に向かうための計算された言葉選びや、映像の強さ。そして、動画自体を広めるためのアイデア。そういったことが「ンダモシタン小林」が話題になった理由だと考えています。この動画を見て「先を越された!」「私たちも思いついていたのに!」と、爪を噛んでいる自治体があるかもしれません。しかし「ンダモシタン小林」には、「仮に『方言が外国語に聞こえる』という同じアイデアを思いついたとしても絶対にマネできない。広めさせられない」細かなコミュニケーションアイデアが詰まっているのです。



村田俊平さんの代表作

「大分市/TVCM/観光PR-透明観光大使(全14話)」、「英進館/TVCM/歩く男篇」、「A-1/TVCM/マラソン篇」、「ムーンスター/TVCM/速すぎる同級生篇」など